小規模な会社にとって、メール署名は広告よりも頻繁に見られることがあります。しかも、目にするのは商品やサービスを購入する可能性が高い相手です。それにもかかわらず、5分ほどで作ったまま見直されないケースは珍しくありません。国や法人形態によっては、メール署名に法的な意味を持つ会社情報も含まれます。ここでは、記載すべき情報と省くべき要素、Outlookでも崩れにくいレイアウト、署名を一度作ってチーム全体に配布する方法を解説します。
法律上、記載が必要な情報
日本では、一般的なビジネスメールの署名について、すべての会社に会社名や法人番号などの表示を一律に義務付ける規定はありません。ただし、取引内容や業種に応じた表示義務が適用される場合があるため、関連法令や社内規程を確認してください。英国ではCompanies Act 2006およびCompanies (Trading Disclosures) Regulations 2008により、ビジネスメールはビジネスレターとして扱われます。英国のlimited company、PLC、LLPは、次の情報を表示する必要があります。
- Companies Houseの登記どおりの正式な会社名。
- 会社登録番号。
- "Registered in England and Wales"や"Registered in Scotland"などの登録地。
- 登記上の事務所住所。実際の営業拠点とは異なる場合があります。
この英国の規則は、返信を含め、会社外の相手に送るすべてのビジネスメールと、それを送信するすべての従業員に適用されます。違反すると罰金が科される可能性があるほか、顧客から取引相手が明確でなかったと主張される余地も生じます。VAT番号はメールには不要ですが、VATインボイスには必要です。個人事業主とパートナーシップはこの規則の対象外ですが、屋号を使う個人事業主も、本人の氏名と送達先住所を表示することが推奨されます。
法的情報は署名の一番下に小さい文字で、1行か2行にまとめます。たとえば英国企業なら、"Nook Coffee Ltd, registered in England and Wales, company number 12345678. Registered office 1 Example Street, Leeds LS1 1AA."とすれば必要な情報がそろいます。
署名に入れる情報と順番
- 氏名、その後に役職。
- 会社名。または、会社名をaltテキストに設定したロゴ。
- 電話番号を1つ。
- リンクを1つ。ここにはプロフィールリンクページが適しています。ウェブサイト、予約ページ、SNSアカウント、vCardを1つのアドレスにまとめられるため、署名を短く保てます。
- 法的情報。
5行と法的情報があれば十分です。それ以外の要素を増やすと、本来読んでもらいたいメール本文と競合してしまいます。
入れないほうがよいもの
- 格言やキャッチコピー。
- 6個のSNSアイコンを並べた列。SNSをまとめたページへのリンクを1つ置けば同じ役割を果たし、どのメールクライアントでも機能します。
- 大きな画像、バナー、手書き署名をスキャンした画像。多くのメールクライアントでは画像が初期設定でブロックされるため、受信者には壊れた画像枠だけが表示されることがあります。
- 長い機密保持の免責文。英国では法的な効力が限定的で、必要な会社情報を画面外へ押し出してしまいます。業界上必要とされる場合も、1文に抑えましょう。
- "スマートフォンから送信したため失礼します"といった断り書き。代わりに、スマートフォンにも同じ署名を設定してください。
Outlookやスマートフォンでも崩れにくいレイアウト
- 画像ではなくテキストを使う。署名全体を1枚の画像にすると、コピーや検索ができず、スクリーンリーダーでも読み上げられません。多くの受信トレイでは初期設定でブロックされます。
- 横幅を狭くする。横幅を約320ピクセルにすると、スマートフォンでも不自然な折り返しが起きにくくなります。現在では、多くのメールがスマートフォンで開かれています。
- ウェブセーフフォントを使う。Arial、Helvetica、Georgia、Verdanaなどが適しています。ブランドフォントが受信者の端末にインストールされていない場合、意図しないフォントに置き換えられます。
- altテキスト付きの小さなロゴを1つだけ使う。容量は30 KB未満とし、ダークモードでも使えるように背景を透明にします。画像最適化ツールを使えば、この条件に合わせられます。
- ダークモードに配慮する。署名内では純白の文字や真っ黒な背景を避け、色の設定はメールクライアントに任せます。
- 添付ファイルにしない。ロゴを添付ファイルとして追加すると、送信するすべてのメールにファイルとして表示されます。
署名ジェネレーターで一度作成する
Digily Linkのダッシュボードにあるメール署名ジェネレーターでは、テンプレートから署名を作成できます。氏名、役職、電話番号、ロゴ、リンク、SNSアイコンを入力し、テーマを選択してプレビューした後、HTMLをコピーするかエクスポートします。無料プランでは5個、Starterでは25個、Proでは50個の署名を作成できます。同じデザインを使いながら、チームの各メンバーに個別の署名を用意するには十分な数です。有料プランでは署名をプロジェクトに割り当てられるため、制作会社ならクライアントごとに1つずつ管理できます。
作成したHTMLは、Gmail、Outlook、Apple Mail、またはスマートフォンのメールアプリにある署名設定へ貼り付けます。アカウントを作らずに簡易版を用意したい場合は、無料の署名ジェネレーターを使うと、ブラウザ上でシンプルな署名を作成できます。
リンクの効果を測定する
署名内のリンクもマーケティングチャネルの1つとして扱いましょう。digily.bio/yournameのような短縮リンクにしておけば、後からリンク先を変更しても、チーム全員に署名の更新を依頼する必要がありません。さらに、UTMリンクジェネレーターを使い、リンク先にutm_source=signatureとutm_medium=emailを設定します。アクセス解析では、署名から毎月何回クリックされたかを確認できます。その数が、すべてのSNSアカウントからのクリック数を合計した数字を上回ることも珍しくありません。
対面で人と会う機会がある場合は、署名にvCard QRコードを入れる方法も検討できます。詳しくは、名刺で使うvCard QRコードのガイドをご覧ください。QRコードは小さく保ち、画像がブロックされる可能性も考慮して、テキストリンクだけでも機能するようにしてください。
よくある質問
個人事業主のメール署名にも法的情報は必要ですか?
英国のCompanies Actに基づく規則は、登記された会社とLLPに適用されます。日本ではメール署名について一律の表示義務はありませんが、屋号を使う個人事業主も、本人の氏名と事業所の住所を記載しておくと、相手からの信頼を得やすくなります。
社内メールや返信メールにも会社情報は必要ですか?
英国の規則では、社内メールには不要です。一方、会社外の相手への返信はビジネスレターとして扱われるため、記載が必要です。日本では一律の法的義務はありませんが、社外向けメールでは会社情報を含む統一した署名を使うのが一般的です。
スコットランドや北アイルランドの会社はどう記載しますか?
適用される規則は同じですが、表記が異なります。スコットランドの会社はSC番号と"Registered in Scotland"、北アイルランドの会社はNI番号と"Registered in Northern Ireland"を記載します。
法的情報は最初のメールだけに入れればよいですか?
英国の規則では認められません。すべてのビジネスメールに必要なため、毎回手入力するのではなく、署名に含めておく必要があります。
チーム全員のメール署名を統一するにはどうすればよいですか?
署名ジェネレーターで共通デザインを1つ作り、各メンバーの氏名と電話番号に合わせて複製し、それぞれにHTMLを送ります。会社情報を変更するときはテンプレートを更新し、新しいバージョンを一度配布するだけで対応できます。
公開前の最終確認
- 必要に応じて、正式な会社名、登録番号、登録地、登記上の事務所住所がすべて記載されている。
- 署名はテキストを中心に、小さなロゴを1つだけ使い、横幅が320ピクセル未満になっている。
- リンクは1つだけで、後からリンク先を変更できる短縮リンクになっている。
- Gmail、Outlook、スマートフォンで確認し、ライトモードとダークモードの両方で正しく表示される。
- 社内の全員が同じバージョンを使用している。